チョコレートトラップ
『あっという間だって!

 合図するから待ってて』



凛の力強い言葉に、

私は椅子を少し引いて

横を向く。


すると凛もまた

私と同じようにして、

軽く微笑み返してくれた。


ドクドクと大きく

波打っていたはずの鼓動も、

言葉の魔法で徐々に

穏やかなものになっていく。


凛が友達で本当によかった。


私は椅子を元に戻すと、

外の様子をぼうっと眺め始めた。


後輩達は迫力のある

声を出しながら、全身で

それぞれの部活動に励んでいる。






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