チョコレートトラップ
凛の合図を受けて、

私は息を一つ吐いてから

ゆっくり席を立つ。


それを確認してから

凛もすっと立ち上がった。


取り合えず手にしていた

カモフラージュの小説を

元の場所に戻すと、

私たちは視線を交わして

わずかに小さく頷いた。


とうとう“その時”が

来ちゃった……。


朝、急いで入れた

私の想いがたっぷりつまった

本命チョコ。


果たして高橋くんは

それに気付いてくれたかな?


そして、ちゃんと

それを持って

帰ってくれたかな?


図書室を出ると、

私たちは並んで

3年生の昇降口へと歩き始めた。


近付くにつれて

私の心臓の動きが

激しさを増していって

苦しくなる。






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