チョコレートトラップ
「ねぇ、凛」


「ん?」


歩くスピードをそのままに

凛が視線を真っ直ぐに

問いかける。


その涼しい顔に、

私の口から自然と

溜め息が漏れてしまう。


「やっぱり、確認なんて

 しなくってもいいよ。

 もし残ってたらショックだし……」


「なーに弱気になってんのよ。

 私がついてるから大丈夫」


昇降口まであと少し。


高橋くんの下駄箱も

私の視界に入ってきた。


あぁ、やっぱりチョコなんて

渡さなきゃよかったかも。


そんな心の葛藤なんて

知らない凛は、サクサクと

目的の場所へ歩み続ける。






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