チョコレートトラップ
小心者の私は

凛の少し後を追うように

ゆっくりと近付く。


「さてと」


凛が高橋くんの下駄箱の前に

ぴたりと止まった。


遅れて私も凛の隣に立ち止まる。


とうとう、

この瞬間が来ちゃった。


もし、この中が

朝の状態のままだったら、

私、ショックで明日から

学校に来れないよ。


凛がふと私へ顔を向けると

真っ直ぐな瞳で見つめた。


「芹菜。心の準備はいい?」


準備なんて、しばらく

整いそうもないけれど……。


「うん、大丈夫」


私の言葉を合図に

凛が高橋くんの下駄箱に手をかけ

思い切り手前に引いた。






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