クランベールに行ってきます


 結衣は机の上に視線を戻し、ペンを走らせる。とりあえず今、疑問に思っている事を箇条書きにしてみた。


 王宮内
  ・料理の消失
  ・客室の幽霊
  ・王子の失踪
  ・王子の秘密
  ・私の出現
  ・東屋の石段を壊した犯人
 遺跡
  ・どうやって活動期の間隔、三十年をカウントしているのか
  ・今回、活動期が早まったのはなぜか


 王子の秘密については、さっぱり見当も付かないので、とりあえず置いておく事にする。
 その他の王宮内の事件は、東屋の石段以外、遺跡の活動期のせいだとすれば、説明はつく。だが、どうして王宮内に集中して、物や人が消えたり現れたりしているのかは疑問だ。
 王宮は遺跡から随分と離れている。結衣が知らないだけで、ラフルールの街でも怪現象は起きているのだろうか。これについては、ロイドに確認してみよう。

 東屋の石段の件は、先日の誘拐未遂の黒幕が一枚噛んでいるかもしれない。だとしたら、犯人の特定は無理だろうが、ロイドは何か聞いているだろう。これも後で確かめてみよう。

 問題なのは遺跡の方だ。これはある意味、東屋の石段以外、全てに関わっている。遺跡の謎が解ければ、全ての謎が解けるような気がした。
 遺跡は三十年に一度、活動期を迎えると聞いた。この三十年を遺跡自体は、どうやって把握しているのだろう。遺跡には謎の機械装置があるというから、もしかしたらカウンタのような物が付いているのかもしれない。

 では今回、活動期が早まったのはなぜだろう。カウンタが付いているのなら、早まる理由がわからない。全遺跡のカウンタが同時に誤動作を起こすなどありえないからだ。
 カウンタではなく、何か自然のエネルギーをどこかに蓄積しているのかもしれない。そして、それが満杯になるのに三十年かかり、三十年に一度それを放出しているとすれば、自然現象や天変地異で活動期が早まるかもしれない。過去にも早まった事があるのか、確認してみなければならない。

 だが、そうなると全世界規模の自然現象や天変地異が起きた事になる。遺跡は広大なクランベール大陸の各地に点在しているのだ。結衣が現れた日に、そんな出来事があったのだろうか。


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