友恋。


ジリリリ……ダンッ!


目覚ましを止めて
ずるずると、
ベッドから畳に這い降りる。


(あぁ…今日は告白するつもりでカナを呼び出した日かぁ…)


起きて、いつもの習慣になってるメールチェックをすると

…受信一件…

の文字。

(カナ…?)

予想に違わず、カナからのメール。


「お昼休み、屋上にいるわ!」


朝からびっくりマーク付きで元気だなぁ…


告白だとは思ってないだろうなぁ…


携帯をパタン、と閉じて畳から立ち上がる。着替えて、髪を悩んだ末に三つ編みにする。


一階のリビングに降りていくと母さんの作る弁当の匂い。


妹と朝から喧嘩、こちらも無駄に元気みたいだ。


いつものうるささ。
いつもの匂い。
無視して自分の朝ご飯を用意して食べる。


これも、いつもの事。

いつもと変わらない。

告白したら、何か変わるのかな…

……………。
不安と期待を胸に、玄関を出る。


「…いってきます」


何も知らない母さんは答える。

「いってらっしゃい」


扉は静かに閉まった。
朝の、少し冷えた空気を胸一杯に吸い込んだ。


「いってきます」


二度目は自分に。


あたしは一歩、踏み出した。
この先に幸せがあると信じて…


空はただ蒼く、悠々としている。


(カナ…)


(カナ。)



やるべき事もやりたい事もただひとつ。それに向かってあたしの想いだけは背中を押してくれた。


(行かなきゃ…行かなきゃ。)





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