その手の中に
ある日私は
病院のベッドから起きあがっていた。
あまり体を動かしてない分
ひとりで起きあがるのは痛かった。
(だいぶ…私も落ち着いてきたな)
私はなんとか愛想笑いができる程、回復していた。
私を心配してくれてた人もみんな安心したようだった。
なんとなく周りを見回してみる。
お見舞いの果物や、私の携帯、手の届くところに色々なものがおいてあった。
(……心配かけて…ごめんなさい)
心からそう思った。
すると、私はあるものを見つけた。
見慣れない……けど
記憶のどこかにあった。
私の大好きだった人が
握りしめていたもの。
私の、大好きな
あの手で
大切に守られていた
小さい箱が。