光の旅人

「パドメ」は、光の旅人です。

ここからとても遠く、誰も住めないくらい寒い広大な大地があります。その上空には、その土地を燦々と照らす、大きくてまったく見事なオーロラがあります。そのオーロラは本当に大きくて、風になびくと端っこの古い部分は切り離され、風に乗ってふわふわと漂うのです。その切り離された部分が、どういうわけか私たち一族の下へ、美しい輝きを放って、ふわりと降りてきてくださいます。


そのオーロラの光と共に、私たちは13ヶ月間放浪し、13ヶ月目の最後の日に訪れた土地で13週間暮らします。オーロラは13ヶ月間私たちの旅路を照らした後、恐ろしいくらい真っ暗になってしまい、私たちは旅を続けることができなくなってしまうのです。どこに行ってしまうのかは分からないけれど、再び私たちの足下を照らしてくれるのは、オーロラが消えてからちょうど13週間経ってからなのです。


オーロラは昼も夜も問わず、輝いています。夜は様々な色でゆらりゆらりと輝き、その光が風に吹かれたカーテンのようになびく度、無数の光の粒を放ちます。それはそれは見事な光景で、私たちが「光の旅人」と呼ばれる由縁でもあります。昼間は夜ほど美しくはありませんが、それでもよく見ると、淡い光のヴェールが私たちを包んでくれているのが分かるはずです。その光が照らし出した道は、私たちが歩むべき道であり、オーロラがその旅路を守って下さっているのです。

オーロラは、私たちの道しるべであり、旅を続けることで、私たちはこの世界に生かされています。

故に、オーロラは、私たちの生きる意味なのです。
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