雪月繚乱〜少年博士と醜悪な魔物〜
『……そなたはガルナを思っているんだな』
見上げた須佐乃袁の瞳は、慈愛に満ちていた。
「あなたを救う方法はないのか……どうしても」
『わたしはそれを望んでいない。あの方がどれほど望んでくれたとしてもだ。わたしが犯した最大の罪は、天を騒がせたことではない。我が分身を守れなかったこと……』
須佐乃袁は、子を失った痛みに1000季もの間耐えてきたのだろう。
帝釈天のように無慈悲かと思えば、人の親と同様慈悲深い。
月夜はふと、何度も耳にした名を思い出す。
「須佐乃袁様……ミトラというのは、もしかして……」
『そなたはミトラの云わば子。ミトラはわたしの同志、そしてあの方、帝釈天のはらから。羅刹はなにも教えていないのだな。なぜそなたがガルナに隠されたのかを』
「隠された、って?」
月夜の問いに、須佐乃袁は遥か遠くへと目を向けた。
『ミトラはわたしが人の身を纏う間、必ずガルナを訪れた。仮にもわたしが目覚める唯一の機会だからだ。17季前、ミトラと帝は契りを交わした。同時にわたしの封印に干渉できる唯一の、そなたという鍵まで生み出してしまった。それに気づかれれば、必ずあの方が動く。ミトラはそれを恐れてそなたをわたしの傍に隠した』
明かされた出生の事実に、月夜は驚きでいっぱいだった。
まさか自分を守るために白童様へ託されたなどとは、夢にも思わなかったのだ。
「でもボクは神でもないし、神の力もないのに……本当にボクが鍵になどなるのか……?」
『いまは完全ではないが、魂の片割れを取り戻せば、そなたに光が宿る。もうそれを隠す意味はなくなった。あのミトラの分身であるそなたなら、イシャナの魂も救えるかもしれないな』
「どう……すればいい?」
月夜は思い出して顔を赤らめた。
『――それは、羅刹に訊け』
須佐乃袁が意味ありげな笑みを浮かべた。
見上げた須佐乃袁の瞳は、慈愛に満ちていた。
「あなたを救う方法はないのか……どうしても」
『わたしはそれを望んでいない。あの方がどれほど望んでくれたとしてもだ。わたしが犯した最大の罪は、天を騒がせたことではない。我が分身を守れなかったこと……』
須佐乃袁は、子を失った痛みに1000季もの間耐えてきたのだろう。
帝釈天のように無慈悲かと思えば、人の親と同様慈悲深い。
月夜はふと、何度も耳にした名を思い出す。
「須佐乃袁様……ミトラというのは、もしかして……」
『そなたはミトラの云わば子。ミトラはわたしの同志、そしてあの方、帝釈天のはらから。羅刹はなにも教えていないのだな。なぜそなたがガルナに隠されたのかを』
「隠された、って?」
月夜の問いに、須佐乃袁は遥か遠くへと目を向けた。
『ミトラはわたしが人の身を纏う間、必ずガルナを訪れた。仮にもわたしが目覚める唯一の機会だからだ。17季前、ミトラと帝は契りを交わした。同時にわたしの封印に干渉できる唯一の、そなたという鍵まで生み出してしまった。それに気づかれれば、必ずあの方が動く。ミトラはそれを恐れてそなたをわたしの傍に隠した』
明かされた出生の事実に、月夜は驚きでいっぱいだった。
まさか自分を守るために白童様へ託されたなどとは、夢にも思わなかったのだ。
「でもボクは神でもないし、神の力もないのに……本当にボクが鍵になどなるのか……?」
『いまは完全ではないが、魂の片割れを取り戻せば、そなたに光が宿る。もうそれを隠す意味はなくなった。あのミトラの分身であるそなたなら、イシャナの魂も救えるかもしれないな』
「どう……すればいい?」
月夜は思い出して顔を赤らめた。
『――それは、羅刹に訊け』
須佐乃袁が意味ありげな笑みを浮かべた。