雪月繚乱〜少年博士と醜悪な魔物〜
「生きていたいか?」
見る者のすべてを奪い尽くしてしまうような強い眼差しに見下ろされ、月夜は固唾をのんだ。
「俺は人間が滅びようと、国がどうなろうとどうだっていい……だが、お前が俺のものになるなら……望みを叶えてやる」
雪の大きな手に、頭を撫でられる。
月夜に迷う余地など残されてはいなかった。
けれど彼の云う、月夜が雪のものになるという、人間が魔物に命を捧げるというのはつまり、願いが叶えばその見返りにすべてを喰われる、ということだろうか?
――だとすれば、二度も救われた命だ。目的が果たせるのなら…。
「…い…生き…たい…っ」
月夜の答えに呼応するように、身体が奇妙な感覚に襲われる。
精霊を調伏するときの、あの肉体から魂が抜ける感覚。
月夜はハッと下を見た。
いつのまにか、自分が立ち上がっていることに気づく。
というより、足元に地面はなかった。
グッと肩を引き寄せられ、見上げると雪の顔が近くにあった。
途端に身体中が熱を帯びはじめる。
「恐れるな……お前と俺はひとつになるんだ。一心同体に。お前は……永遠に俺のものだ」
――永遠に……雪の、式となるのか?
二つの魂は重なりあい、ゆっくりひとつに溶け合っていく。
脚も腕も手もかたちを失い、身体が完全に一体化した。
――なんて……暖かい。
式を得たときよりももっとずっと深く、月夜は雪の存在を感じていた。
ひとつになるということが、信じられないくらい気持ちよかった。
ふたたび別々の肉体に戻るくらいなら、このまま喰われてしまってもいい。
一瞬そう錯覚してしまうほどに。
「……月……」
月夜の背がゾクリと粟立った。
見る者のすべてを奪い尽くしてしまうような強い眼差しに見下ろされ、月夜は固唾をのんだ。
「俺は人間が滅びようと、国がどうなろうとどうだっていい……だが、お前が俺のものになるなら……望みを叶えてやる」
雪の大きな手に、頭を撫でられる。
月夜に迷う余地など残されてはいなかった。
けれど彼の云う、月夜が雪のものになるという、人間が魔物に命を捧げるというのはつまり、願いが叶えばその見返りにすべてを喰われる、ということだろうか?
――だとすれば、二度も救われた命だ。目的が果たせるのなら…。
「…い…生き…たい…っ」
月夜の答えに呼応するように、身体が奇妙な感覚に襲われる。
精霊を調伏するときの、あの肉体から魂が抜ける感覚。
月夜はハッと下を見た。
いつのまにか、自分が立ち上がっていることに気づく。
というより、足元に地面はなかった。
グッと肩を引き寄せられ、見上げると雪の顔が近くにあった。
途端に身体中が熱を帯びはじめる。
「恐れるな……お前と俺はひとつになるんだ。一心同体に。お前は……永遠に俺のものだ」
――永遠に……雪の、式となるのか?
二つの魂は重なりあい、ゆっくりひとつに溶け合っていく。
脚も腕も手もかたちを失い、身体が完全に一体化した。
――なんて……暖かい。
式を得たときよりももっとずっと深く、月夜は雪の存在を感じていた。
ひとつになるということが、信じられないくらい気持ちよかった。
ふたたび別々の肉体に戻るくらいなら、このまま喰われてしまってもいい。
一瞬そう錯覚してしまうほどに。
「……月……」
月夜の背がゾクリと粟立った。