雪月繚乱〜少年博士と醜悪な魔物〜
月夜は茫然とイシャナを見下ろしていた。
この者はなにを云っているのだ?
なにを根拠にこのような恐ろしいことを自分に訊かせるのだ。
神を人間が陵辱し、王を生ませたなどと、いったい誰があの碑文から読み解くというのだろうか?
背筋を冷たい汗が滑り落ちていく。
「この千もの刻、こないな小さな国が3国の度重なる侵攻を退けてこられたのはなぜやと思わはります? ガルナは神との契約で生まれた国やったからです」
「契……約」
「せや。神は朱雀を自分を守る盾として生んだ。ガルナ国は事実、神の寝所やったということです…」
ふらりと後ろの壁に身を寄せた月夜は、力を失ってへたりこんだ。
くわえたイシャナを放り出し、阿修羅がすりよる。
「それが……本当だとして……神はどうしたかったのだ? なぜ神はこの地に降りた? 人間になど……それに、なぜ神の国に戻らずに留まる必要が?」
「……神は降りたんとちゃう……天界から堕ちたんや」
ふと湧いた違和感に、月夜は顔をあげた。
まるですべてを見てきたように話す彼に懐疑的なまなざしを向ける。
――そうだ。はじめから、イシャナにはわからないことばかりだった。
だが噛まれた肩を庇いながら立ち上がるイシャナは、月夜の目には普通の人間にしか見えない。
もし魔物かなにかが人間のふりをして、騙そうとしているのだとしても、それにいったいどんな目的があるというのだ?
「ナーガの……お前が所属する部署を調べた。地の利を研究し、新たな土地を開拓するのが本来の役目のようだな……それがなぜ技術研究になど?」
月夜はゆっくりと腰をあげた。
「お前の目的はなんだ? 本当に……お前はナーガから来た人間か?」
この者はなにを云っているのだ?
なにを根拠にこのような恐ろしいことを自分に訊かせるのだ。
神を人間が陵辱し、王を生ませたなどと、いったい誰があの碑文から読み解くというのだろうか?
背筋を冷たい汗が滑り落ちていく。
「この千もの刻、こないな小さな国が3国の度重なる侵攻を退けてこられたのはなぜやと思わはります? ガルナは神との契約で生まれた国やったからです」
「契……約」
「せや。神は朱雀を自分を守る盾として生んだ。ガルナ国は事実、神の寝所やったということです…」
ふらりと後ろの壁に身を寄せた月夜は、力を失ってへたりこんだ。
くわえたイシャナを放り出し、阿修羅がすりよる。
「それが……本当だとして……神はどうしたかったのだ? なぜ神はこの地に降りた? 人間になど……それに、なぜ神の国に戻らずに留まる必要が?」
「……神は降りたんとちゃう……天界から堕ちたんや」
ふと湧いた違和感に、月夜は顔をあげた。
まるですべてを見てきたように話す彼に懐疑的なまなざしを向ける。
――そうだ。はじめから、イシャナにはわからないことばかりだった。
だが噛まれた肩を庇いながら立ち上がるイシャナは、月夜の目には普通の人間にしか見えない。
もし魔物かなにかが人間のふりをして、騙そうとしているのだとしても、それにいったいどんな目的があるというのだ?
「ナーガの……お前が所属する部署を調べた。地の利を研究し、新たな土地を開拓するのが本来の役目のようだな……それがなぜ技術研究になど?」
月夜はゆっくりと腰をあげた。
「お前の目的はなんだ? 本当に……お前はナーガから来た人間か?」