砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】
 ほどなくして、雅之が馬を走らせてきた。
 男装のまま門の前に立っていた毬に、躊躇うことなく声をかける。

「毬。
 龍星は?」

「人が刺されたらしいので、先に行くよう勧めた。場所は聞いている」

 雅之は当然のように手を伸ばすと、毬を簡単に馬に乗せた。自分の前に抱えるように。

「一緒に来るんだろう?」

「龍、怒らないかな?」

 毬が心配そうに問うのが雅之には可笑しくてたまらなかった。龍星にしろ、毬にしろ、気持ちは通じ合っているはずなのに、なぜあえて擦れ違おうとするのだろうか。
 雅之は、馬を飛ばしながら問う。

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