砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】
「龍?」
しばらくして瞳を開いた毬は、驚いて声をあげた。
まさに、安倍邸に入ったところで、自分の身体は龍星に抱かれているのだから驚いて当然と言えば当然である。
しかも、自分はいかにも少年的な着物を身に纏っている。
「毬?」
「……私、どうしたの?」
毬はいつものように首を傾げて見せた。
柔らかくお日様の日差しを思わせるような甘い匂いは、いつもの彼女のものだった。
龍星はそっと、毬の足を地面に下ろす。
「大丈夫?
気分は悪くない?」
龍星はことさら甘い瞳で、彼女の顔を覗き込む。
「私、どうしたの?
ねぇ、どうしてもう夕刻なの?
さっき、朝、だったよね?」
毬は不安そうに龍星の袖を掴んだ。
「龍、私……」
龍星は震える身体を掻き抱いた。
「朝お話した後から、全然記憶が無いの」
真っ青になって、震えている。
「今日はずっと俺と一緒に居た。案ずることは無い」
龍星は自分の中に溢れる不安を飲み込んで、ただ、優しい言葉を掛けた。
「……嵐山の時みたい」
毬はそう呟くと、龍星の腕の中で倒れこむように気絶した。
しばらくして瞳を開いた毬は、驚いて声をあげた。
まさに、安倍邸に入ったところで、自分の身体は龍星に抱かれているのだから驚いて当然と言えば当然である。
しかも、自分はいかにも少年的な着物を身に纏っている。
「毬?」
「……私、どうしたの?」
毬はいつものように首を傾げて見せた。
柔らかくお日様の日差しを思わせるような甘い匂いは、いつもの彼女のものだった。
龍星はそっと、毬の足を地面に下ろす。
「大丈夫?
気分は悪くない?」
龍星はことさら甘い瞳で、彼女の顔を覗き込む。
「私、どうしたの?
ねぇ、どうしてもう夕刻なの?
さっき、朝、だったよね?」
毬は不安そうに龍星の袖を掴んだ。
「龍、私……」
龍星は震える身体を掻き抱いた。
「朝お話した後から、全然記憶が無いの」
真っ青になって、震えている。
「今日はずっと俺と一緒に居た。案ずることは無い」
龍星は自分の中に溢れる不安を飲み込んで、ただ、優しい言葉を掛けた。
「……嵐山の時みたい」
毬はそう呟くと、龍星の腕の中で倒れこむように気絶した。