砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】
 陰陽頭の龍星と、左大臣の娘の毬という関係には『身分の違いなどない』と伝えているも同然だった。『女房と主人との禁断の恋じゃあるまいし。この程度の位の違いや家の違いなど、私は気にしない』と、毬は暗に伝えているのだ。

 やはり毬は自分が密かに抱える不安に気づいていたのかと、龍星は苦笑を浮かべずにはいられない。


「俺は禁断の恋でも構わないよ。
 相手が毬なら」

 その言葉を耳にした毬は、ふわりと微笑んだ。
 そうして、踵を返すと二度とは振り向かずに姿を消した。
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