砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】
 直後、玄関のほうで気配を感じ、毬はそちらへと向かう。

 そこには、わら人形を携えた帝が居た。
 毬はゆっくり頭を上げて、帝へと近づく。

 失礼な女房を見て、一瞬視線を険しくした帝に、毬はにこりと微笑んで声をかける。

「あら、お兄様。
 どうなされたんですか?」

 帝もその声を聞き、その失礼な女房の正体に気が付いた途端相好を崩した。

「おやおや。
 誰かと思えば、私の可愛い妹君ではないか。
 今度は女房ごっこ?」

「ええ。
 ですから、お兄様もそのように振舞っていただかないと困ります」

「分かった、そうしよう」

 どさくさに紛れて、帝はふわりと毬の頭を撫でる。
 毬は困った顔で、一歩後ろへと下がった。

「龍星は?」

 冗談はここまで、とばかりに帝の口調が固くなる。
 毬もそれにあわせて視線を下げた。

「奥の部屋で和子様とお話中です。
 和子様の兄君、唯亮様、そして雅之様もご同席ですわ。
 ご案内させて頂きます。
 ……お兄様のことは、帝とご案内してもよろしいのでしょうか?」

「いや、来客とだけ、告げてくれ。
 やはり、結婚の儀のときに和子には驚いて欲しいからな」

 そこで、ふと言葉を止めて、毬を熱く見つめる。

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