ミックス・コーヒー
 一時間以上、浴室で格闘し、貴之は痛む腰を押さえながら居間に戻った。
 そして、貴之が軽めの木製の戸を開けそこを見た瞬間。

 彼は、妙な違和感のせいで体が固まってしまった。

 クリーム色の大きな絨毯の上にはテーブルとソファが置かれてあるが、そこに並んで尚樹と、そして<誰か>が座っていた。

 普通に考えれば、それが先程までの<ピンクの毛布の女の子>である、と容易に理解出来そうなものだが、貴之にはそれが出来なかった。

 それぐらい、彼女は別人になっていた。

 今まで全く見えなかった顔がついに露わになっており、貴之の目はそれに釘付けになった。



 目を瞠る程の、息を飲む程の、美人である。
< 12 / 366 >

この作品をシェア

pagetop