ミックス・コーヒー
『シャチョサン、ジツハアタシ、李ヨ』

「実はとか言われなくても知ってますけど」

『オ元気デスカ?』

「うん? まあまあだな」

『暇デショ?』

「うるせえ! 用ないなら切るぞ!」

『マッテ、暇ナラ、アタシノ店キテヨ。<グン☆ナイ>ッテイウ店ヨ。アタシ、サービススルヨ……』



 李の話の途中だが、貴之は激しく受話器を置いた。

「李だ。『コッチヨリ、アッチノホウガ、金オオイ』とか言い残して、キャバクラに行っちゃった、あの中国人留学生の李だ」
 美葉が淡々とした表情で茶化す。

「だから、李のことはもういいって言ってるだろ……」

『プルルルル……』

 再び電話が鳴った。
 また李からだと思い、貴之がぶっきらぼうに出る。
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