ミックス・コーヒー
「はい! こちら<ひょっこり>!」
 喫茶、をとると更にマヌケだ。

『……あの、すみません。古亭路美葉さんいますか?』

 電話の相手は李ではなかった。
 声からして、若い、日本人の女性で間違いないようだ。

 それはともかく、美葉宛ての電話なんて初めてのことだ。
 貴之はなんとなく慎重になった。
「失礼ですが、どちら様ですか?」



『……筏美栗と申します』



 イカちゃん!と我を忘れて貴之が叫ぶ。
 思わず、受話器も手から滑り落ちた。

 すかさず、美葉がその受話器を拾う。

「……もしもし」
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