ミックス・コーヒー
「ちょっとー! 貴之くん、もっと美葉を褒めてよ!」

 ミクリに怒鳴られ、貴之も思わず声が大きくなる。
「ほっ、褒めてんじゃん!」

「どこがよ。カワイイならカワイイって言えばいいじゃん。そして、好きなら好きって言えばいいじゃん」

「ちょ……ちょっとちょっとちょっと!! なんだよその大胆な飛躍!」



 最近は、貴之とミクリは会えばいつもこんな感じだ。

 お互い、どこか似ている部分があるのか、妙に反発し合っているようだ。

 だが、決して嫌い合っている、というわけではないだろう。

 それぞれが、このやり取りを楽しんでいるように尚樹からは見える。

 そんな尚樹は「まあまあ」と二人を適当になだめる役だ。

 美葉は……いつもそれを、ぽかんと適当に観賞する役だった。
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