ミックス・コーヒー

汚れ無き

   ①

 翌々日。

 舞台は整った。
 役者も、あと<一人>を待つのみ。

 ここは、とある小さな喫茶店。
 午後4時を回ろうとしている今、店の中は、他の客はいないというのに少々慌しかった。

「本当に来ますかね」
 カウンターの後ろで、ソワソワしている沢下。

「間違いない。ヤツは時間通りに必ず来る」
 お気に入りのカウンター席に腰をかけ、いつものように豪快に尻を丸椅子からはみ出させながら、落ち着かない様子で貧乏揺すりをする、シゲ。

「なんでこんなことに付き合わないといけないんだ……」
 不本意、とでも言いたそうにキッチンで呟く、瀬戸。
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