ヴァンタン
知っている道の反対を行く。
それしか方法はなかった。

頭の中がこんがらがった。


「えーと、お茶碗を持つ方が左」
そう言いながら、お箸で食べる真似をする。


「おねえさん。それは右手だよ」
チビが素早く突っ込みを入れる。


解っていながらやってしまう。
鏡の中はやはり迷路のようだった。
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