ヴァンタン
ゆっくり進む海賊船?

でも帆は畳まれたままだった。


――あれっ、この船に乗組員は居ない筈。


――帆もこんな状態じゃ。


――そうだ、この船は一体何で動いているんだ?

私は耳をすませた。

何か音がしないかと思って……

動力は帆か?
それとも……?


私は慌てて甲板に戻った。




チビ以外誰も居ない……

私は、この船の正体を知るのが怖くてはただ震えていた。


――怖い。


――怖過ぎる。


――ねえ誰か居ないの?

私は暗闇の中に何か居るように思えてならなかった。






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