モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「気にいったの。」

声をかけられてハッとする。

つい、二人の存在を忘れていた。

振り向けば、声をかけた凍夜は
楽しげにこちらを見ているし、
隣のノークスは、姫乃の様子が
おもしろかったらしく、
声をひそめて笑っている。

みられていたことが
恥ずかしくなった姫乃は、
早々に話題を変えた。

「気、気にいったから、
もういいでしょ。ほら、もう
時間もけっこうかかっちゃったし、
早く食事を…。」

ノークスが、まだおさまらない
笑いを残したまま言う。

「ああ、そうでしたね。
昨夜はお預けでしたし、
わざわざ餌になると
宣言までしてくれたのですから、
早くしましょうか。」

そういって、姫乃には近づかず、
背後の壁に寄り掛かる。
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