モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
どうやら、姫乃の髪の件に
少なからず罪悪感を感じていた
ノークスは、凍夜に相談を
持ちかけたらしかった。

夕食より少し早い時間に
凍夜に連れ出された姫乃は、
有無を言わさずここに座らされ、
今まで髪をいじられた。

姫乃としては、とっさとはいえ
自分で覚悟してやったことだから、
このままでかまわないと意思を伝えた。

しかし、二人の妙に息の合った
猛反発を受けたものだから、
しぶしぶされるがままになっていたのだが。

ここまで短くしたのは初めてなので
少々落ち着かないけれど、
二人が似合うと言ってくれたためか、
不思議と嫌な感じはしなかった。

「…。」

鏡を見せてもらえば、なるほど、
確かに悪くない様に思う。

少なくとも、髪が長い時よりは、
この淡い色の可愛らしいドレスが
似合っているかもしれない。

首をかしげてみたり、ちょっと
揺らしてみたり、くるりと
回ってみたりといろいろしてみる。

…たぶん、今までで一番わたしに
似合うかも。
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