モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
真っ青な顔で、立ち尽くしていた
姫乃を見ていた凍夜が、
おもしろくなさそうに
ノークスを睨みつけたことに
姫乃は気付かなかった。

凍夜の視線を受けて、
ため息交じりにノークスが言う。

「…冗談ですよ。」

「…え。」

姫乃が真っ青な顔をあげた。

「脱ぐ必要はありません。
からかっただけです。」

「…。」

まだ血の気が引いたままの
姫乃は呆然とその場に立ち尽くす。

「…。じゃあ、その、
脱がなくても、いい、の?」

ようやく、それだけ呟く。
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