モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「あ、ありがとう、凍夜。」

凍夜が庇ってくれなければ、
姫乃が東雲の二の舞に
なっていたところだ。

「…キミは目を離すと
すぐ何かやらかすんだね。」

「う。」

凍夜にそう言われて、
姫乃は返す言葉がない。

…でも、今家具が崩れたのは
わたしのせいじゃ…と思ったが、
そもそもこの部屋での騒動は、
見た目と違って相当な力もちの
東雲に、おもしろがって
同時にいくつの家具を
運べるか、などとバカな
提案をしたのが原因だ。

やっぱり、どうしたって
自分が悪い。

そう考えて、結局返す
言葉のない姫乃は、
居心地が悪くて黙り込む。

そうこうしているうちに、
最初に姫乃が指示しておいた
場所へ3人の従僕たちは
なにくわぬ顔で
家具や小物を片づけ終えた。
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