モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
さすがに怒ったノークスに、
もう少し淑女らしい趣味で
時間をつぶせ、と説教された
姫乃は、そのあとまるで
良家の令嬢のように見事に
ピアノを弾きこなして見せ、
凍夜とノークスを驚かせた。

しかし、次の日、午前中には
淑女らしく大人しく刺繍を
していたかと思えば、
昼食後に厨房で使っていない
オーブンを引っ張り出した。

火薬と一緒にクッキーを焼いたら
もっと香ばしくなるんじゃないか、
などと言ってオーブンを爆発させ、
真っ黒になって笑っているのだ。

挙句の果てには、凍夜やノークスの
分身である従僕に勝手に名前を付け、
手懐けはじめたのだから本当に
手に負えない。

従僕たちは報告こそ怠らないが、
姫乃と一緒になって騒ぎを起こす
始末だった。
< 122 / 726 >

この作品をシェア

pagetop