モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「少なくとも、この村に一匹は
いるみたいだね。」

「一匹で済めばいいですがね。
あの結界のはられた森の中に
何十と巣くっていたら、
笑い事じゃ済みません。」

「シスターのはった
結界なんでしょ。」

「…吸血鬼を拘束して、
その血をもとに無理やり
喰血鬼を作るような
生き物がシスターですよ。」

過去のことを思い出して、
ノークスが陰鬱な笑みを浮かべる。

凍夜とノークスが、
モントリヒト城を住処に
選んだ理由。

それは、この界隈に喰魂鬼が
出没している形跡を見つけたためだ。

かつて、望みもしない
行為によってノークスの血から
生み出された喰血鬼。

彼らの駆除をするために、
凍夜とノークスはこの地に来た。

「…やはり、ありましたね。」

家の庭の隅に積まれた壺を
隙間から覗き込んだ
ノークスが、何かを見つけた。

凍夜も、近づいて覗き込む。
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