モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~

妹との再会―ノークス

「あの小娘…!」

走り去る姫乃の後ろ姿を
みながら、ノークスは
憎々しげに呟いた。


逃げないと言ったくせに…!


そう胸中で叫ぶ。

彼女の口約束など、
信用していたわけではない。


そうだ、決して、
信用していたわけでは
ないのだ。


…なのに、この裏切られたと
罵りたくなる感情は、
なんなのだろう。

ノークスが捕えようと
動くより先に、凍夜が
のんびりと歩きだした。

「!?凍夜?」

「なに。」

「どこへ行くのです。」

「決まってる。姫乃の
あとを追うんだよ。」

確かに、彼が向かおうと
した方向は、姫乃の
向かった森の方角だが。
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