モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「何を悠長に歩いて…。
森の中に逃げ込まれれば、
我々には入る術が…。」

「…揚げ物のにおいがした。」

「は…?」

唐突に、予想だにしない
単語を聞いて、ノークスは
間の抜けた返事を返した。

ノークスの返事に、
凍夜は問いかけで返す。

「…彼女はどうして、
教会から出てきたと思う?」

「は…?」

どっちにしても、凍夜の
話の意図がつかめず、
ノークスは先ほどと同じ
返事を返した。

「…。東雲。」

「!」

困惑するノークスを
気にする様子もなく、
立ち止まった凍夜が
従僕の名を呼んだ。

その声を聞いて、
ノークスもようやく
気配に気づく。

そばの木陰で、
息をひそめる3つの影。

姿は見えないが、
その気配は、間違いなく
自身の従僕のものだった。

「…天明、黎明…。」

そう、呟く。
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