モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「それより、キミ、
姫乃が地主に
嫁ごうとした理由は
知ってるの。」

「…。いいえ。その
件は嫁ぎ先と嫁ぐ
日取りしか知りませんよ。
…彼女が結婚を決めた
理由が気になるのですか?」

「…僕たちに誘拐されて、
する必要がなくなった…。」

それは一体、どういう
ことなのだろう。

「…。凍夜。」

じっと考え込む凍夜を
黙って見ていたノークスは、
遠慮がちに声をかけた。

「…あまり、彼女を
信用しないほうが
いいのでは?」

「…なぜ。」

「何か、企んでるの
かもしれません。
誘拐した相手から
逃げ出さないなんて、
裏があるとは思いませんか。」

「…。」
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