モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「別にかまわないよ。」

凍夜の返答に、ノークスが
驚いた顔をする。

「あの子が来れば、姫乃は
心配事がなくなるし、キミの
罪悪感も軽減するだろう。
うっとうしい思いを
しなくて済む。」

簡単に心情をよまれて、
ノークスは気まずそうに
そっぽを向いた。

「次の紅月(あかつき)の
夜に、結界を解いて城に
招きます。」

「そう。」

モントリヒト城とその
周辺には、凍夜と
ノークスの血で作った
結界がはられている。

シスターの作る結界と
違ってそれほど強くは
ないが、侵入者を
拒むもので普通の人間
相手ならそこそこの
効力がある。

今のままでは姫乃の妹を
迎え入れようにも、
結界が拒んで妹を
惑わしてしまうだろう。

結界は、時折訪れる
赤い満月の夜でなければ
関与することができないから、
それまで待たなければならない。
< 167 / 726 >

この作品をシェア

pagetop