モントリヒト城の吸血鬼①～ヴァンパイアの花嫁～

「なにを…！妙な勘ぐりは
やめていただきたい！
…貴方は私がフランを
嫌っていたことをご存じでしょう！
姫乃は確かに器量のいい娘ですが、
私はフランによく似たあの顔を
見るだけも吐き気がするのです。
フランの娘が貴方に一生囲われ、
凌辱され絶望するのを私が
どれほど待ち望んでいたことか…！
あの娘は本当に私の目の前で
忽然と姿を消したのです！！」

激高したした地主を、
男は冷静に見つめていた。

男の視線を受けて、自身が
獰猛な獣の前にいるに
等しいことを思いだした
地主は、慌てて落ち着きを
とりもどす。

「…。」

「…失礼、しました…。
…あの娘をおびき出す方法は
きちんとございます。
姫乃には父親違いの
妹がいるのです。
姫乃はその異父妹を
溺愛しています。
数日中にあの娘を使って…。」

感情的になりながらも
必死に弁明する地主の話に、
沙羅は耳を疑った。


父親違い…？



…いや、それよりも。




今、地主はもっと
恐ろしいことを
言わなかっただろうか。