モントリヒト城の吸血鬼①～ヴァンパイアの花嫁～

二人は壁に寄り添って、
隣室の話に聞き耳をたてる。

「それより、ひとつ
ご相談が…あの兵器の
ことなのですが…。」

「なんだ。」

しばらく、男たちは
用意した兵器とやらを
使って国に反旗を翻す
などという荒唐無稽な
話をしていたが、
ふいに話題を変えた。

「ここ数カ月のうちに、
数体が村人を数人
捕食しました。」

「…空腹に耐えきれ
なければそうなると
以前説明したはずだ。
餌をやらなかったのか。」

「ええ、どの程度の
空腹に耐え得るかの
実験のために控えました。
…ご相談はその点では
ございません。」

「なんだ。」

「実は、捕食に村に出した
７体のうち、２体の行方が
知れないのです。」

「…なんだと？」

「それだけではありません。
別の２体に至っては、
捕食の最中に何かに
襲われて、壊されました。」

会話の内容から、兵器、と
いうのが喰血鬼のことだと
わかり、ノークスは
眉をしかめた。


…地主の話し相手は、まさか。