モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「何も、そう恥ずかしがる
ことはないでしょう。
貴女も年頃の女性なの
ですから。どうです?
我々のどちらかが
女にしてあげましょうか?
初恋の相手でも想い
浮かべればきっと
最高の気分で文字通り
天に召されますよ?」

冗談のつもりで言ったが、
状況が状況だけに身の
危険を感じたのだろう。

身を起こした姫乃は、
勢いよくノークスの
手を払いのけた。

先ほどまでの恍惚や
羞恥は一変して、
強い警戒心が
むき出しになる。


…羞恥心を煽るつもりが、
失敗したようだった。

場の空気が緊迫して、
これでは食事どころではない。

まったく、これだから
変に気の強い女は
気に入らない。

思い通りに動かしづらくて
かなわない。
< 310 / 726 >

この作品をシェア

pagetop