モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
ノークスに話しかけられた少女は、
少しだけ物おじした様子を見せたが、
やはり好奇心には勝てないようで会話を続ける。

「じゃあ、吸血鬼がガーリックが嫌いだとか、
日光にあたると燃えるとか銀に弱いとか、
あと、聖なるものに…。」

「凍夜など、昼寝の際は好んで日光浴をしていますけどね。
ここにあるのは全て銀食器ですし、聖なるものなんて
特に信心深いわけでもない我々には無害にも等しい。」

「…。じゃあ、棺桶で寝たりもしないの?」

「何故あんな気色の悪い寝床を好まねば
ならないのです。」

ノークスが、眉をひそめて答えると、
少女は少し俯いて、考え込むような様子を見せた。

「残念ながら、我々の弱点を探って逃亡を
企てようとも無駄なことだ。
あきらめて大人しくしていることが貴女に
とっての最善の方法ですよ。」

ここぞとばかりに、意地の悪い笑顔で
ノークスが警告をする。

その警告に応じるかのように顔をあげた少女は、
しかし、さも残念そうにつぶやいた。

「そっか、吸血鬼って案外おもしろくないのね。」
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