モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
すでに、姫乃は姫乃なりに、
普段通りに接している
つもりなのだ。

それなのに、凍夜は
一向に食事を取ろうと
してくれない。

なにより、姫乃が
話しかけると、
凍夜の機嫌はますます
悪くなってしまう。

食事をしてほしいとか、
こないだは変なことを
言ってごめんなさいとか、
そんな懇願や謝罪を
口にすれば、凍夜は
必ず姫乃をノークスや
従僕の目につかない
ところへ連れ込んだ。

そうして、迫るように
顔を近づけられるから、
動揺した姫乃はつい、
凍夜から逃げるように
身をよじり、目を
そらしてしまう。

そんな姫乃を、
冷やかな目で見て、
無言で凍夜は去っていく。



もう、幾度となく
繰り返したことだった。
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