モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~

昼食―姫乃

口ゲンカを始めそうな二人の様子に、
姫乃は思わず笑ってしまった。
これでは、仲のいいどこにでもいる
普通の兄弟にしか見えない。

「吸血鬼って言っても、そんなに
わたしと変わらないのね。」

姫乃がそういうとノークスの方は
ムッとしたが、凍夜は興味深げに
姫乃を見つめた。

「さっきまで、青い顔でおびえていた
くせによく言うね。」

「さっきのは…ちょっと、…こういう
ドレス慣れないから、気後れして…。
…べつにあなた達におびえたわけじゃないの。」

正直今もドレス姿が恥ずかしくて、
できるなら着替えたいのだが。

「…僕たちが人にはない力を持ってるのに、
人間と同じ?」

まるで、品定めしているかのような、
凍夜の視線。

「だって…こうして話が通じて会話が
成り立っているし。
だから、そこはそんなに気にする
ところじゃないと思うんだけど。」

凍夜の試すような質問に、
可能な限り毅然として返す。
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