モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~

囚われの少女―姫乃

目が覚めるなり、全裸の姫乃はシーツと一緒に
ベットの下へ転げ落ちるように逃げ込んだ。

昨晩のことを思い出し、恐怖で身体がこわばる。

息をひそめて部屋の中の様子をうかがうが、
特に人のいる気配は感じられなかった。

一体、自分の身に何が起こったのか。

そう思い、昨晩の、いや、昨日のことを思い起こす。

たしか、森のはずれにある自分の家に、領主の使いが来て。
彼らに連れられ、用事の為に村まで行ったはず。

…そうだ。そこで、奇妙な男に声をかけられた。
新緑の芽吹く初夏だというのに、黒いコートをきた男。

「憂い顔が、似合いますね。」

そういって、男は突然、消えた…ように思った。

不思議に思いながらも、村での用事を済ませ、
そのまま領主の屋敷へ向かい、門前で領主に迎えられて…。


そして。

何か、黒い影が目の前を覆ったかと思ったら、
自分の身体はもう、自分の意思では動かせなくなっていた。
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