モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「姫乃を渡せば、
見逃してあげるよ。」

あれほど衰弱してなお、
誰よりも優位な、吸血鬼。

かつて、その権勢を
ほしいままに君臨した、
我々の…―。

遥か昔の、姿が、重なる。

彼の前には、何人たりとも、
逆らうことは許されない。

自身の保身のためには、
姫乃を渡すしか道がないと
シャディンは悟り―。


―そして、自身の手に傷をつけた。


赤い雫が、滴る。


「…。渡す、ものか…!」

「!!」

その血の滴る指先を、
姫乃の口に無理やり
ねじ込もうと
シャディンが彼女の
顔をつかんだ。
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