モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「!」

思い出した途端、
屈辱を感じて
姫乃の身体を
引き離す。

「あ…。」

雨に濡れた髪と
衣服で覆われた
姫乃は、さらに涙で
頬を濡らし、口元まで
赤く濡らしている。

驚きとともに、
彼女の頬を新しい
雫がこぼれた。

記憶を、探る。

ここは、自分の
部屋だ。

雨に濡れたままの
自分と、姫乃。

傍らに広がる
赤い液体は、
人の姿も剣の姿も
維持できず、血に
戻った東雲だろう。

シャディンを
退けた、後。

姫乃を抱えて
モントリヒト城に
戻ったことは、
覚えている。
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