モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
そもそも凍夜は、
人の手当てなど
したことがない。

身近な人間が
怪我をしていて、
自分で手当てして
やろうなどと
考えたことすら
なかった。


苦心して、
どうにか包帯を
巻き終える。

相当歪な巻き方だが、
とりあえず役目は
果たすだろう。

この先、姫乃が
いつ怪我をしても
いいように、
手当の仕方は
覚えておく必要が
ありそうだ。

たぶん、姫乃自身が
巻いた方が
もっときれいに
できただろうに、
姫乃は凍夜に
ありがとうと言った。

「…。」

さきほど、
死にかけたところを
助けられたときに、
悪態ではなく
礼を言えばよかったと、
いまさらながらに
後悔する。

過ぎたことに意地を
張らなければ、
姫乃に余計な
怪我をさせずに
済んだし、
泣かせることも
なかった。
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