モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「…わたし、部屋に
戻るわね。」

「!…食事をしたら、
話を聞く約束だよ。」

「話も何も…別に、
もういいじゃない。
あなたは知りたいことを
知ったんだし、
わたしも…楽になったし。
これで、またちゃんと
餌としてこの城に
いられるから、
もう問題はなにも
ないでしょう?」


…たしかに、そうだが。


ムッとして、
抱き寄せようと
手を伸ばせば、
姫乃はさっと
その手をよけた。


お互いが、
好きあっているのに、
拒絶される。


解決したのは、
凍夜だけ。

凍夜は、姫乃の血から
感情を読み取って、
狂おしいほど自身へ
向けられる恋情と
嫉妬心を知った。



しかし、姫乃は。



凍夜が彼女に
向けている想いなど、
微塵も知らない。

自分が凍夜にとって、
代わりのきく
餌でしかないと、
本気で思いこんだ
ままだ。
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