モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
それにしても、
凍夜の話を聞く限り、
彼はリターチと
いう人に恋をしていた
わけではない、と
いうことで。

それがわかると、
姫乃の心にあふれ
出していたどす黒い
モノは、あっさり、
すっきり、消えて
しまった。

かわりに、姫乃の
心の中には恥ずかしさが
渦を巻いて押し寄せた。

…わたし、勝手に
ものすごい勘違いして、
勝手に傷ついて、
拒絶して、凍夜の
機嫌損ねて、あげく
彼の命を危険に
さらしたってこと…?

顔だけでなく、
全身が羞恥で熱くなる。

穴があったら、
入りたい…。

むしろ、今すぐ
ここに穴を掘って
閉じこもりたい。

「…姫乃?」

羞恥で黙りこむ姫乃を
不審がる凍夜の声に、
姫乃はハッとした。

起き上がり、正座して
姿勢を正す。

怖々、凍夜の顔を見た。
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