モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「…姫乃。」

食堂を出ようとした姫乃を、
ふと凍夜が呼び止めた。

「はい?」

振り返った姫乃の目の前に
凍夜が歩み寄る。

彼の手が姫乃の顔に伸び、
顎を持ち上げ覗きこまれた。

「?」

見上げる形になった姫乃が
不思議に思い見つめ返す。

「そのドレスもキミの名前も、
キミによく似合っていて
僕はけっこう好きだよ。」

「…。…っ!?」

不意打ちで囁かれ、数秒かかって
言われたことを理解した姫乃は
真っ赤になってうろたえなければ
ならなかった。
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