モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
好みの女であるにも
かかわらず、
食事をする気に
ならなかったのは、
自分の本能が
天使の祝福の力の
脅威を察しての
最初の警告だったの
かもしれない。

本能の部分が、
この女はよくないと
警告していたのに。


「また、明日、
会いにきて
くださいね。」


その言葉が、
ノークスの中の
警告を止めて、
意思を捻じ曲げて
しまう。


そんな関係が
数年ほど続き、
ノークスはたぶん、
油断しきっていた。


その日、彼女の
様子がおかしいことに、
気付いてはいた。

どうしたのかと
尋ねても口を
きこうとしない。

いつもと同じほど
時間が立った頃、
ようやく口をきいた
彼女の、祈るような
言葉は。
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