モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「あら、便利ね。
…じゃあ、東雲なら、
ここに凍夜を
呼べるってことよね?」

「申し訳ありません、
お嬢様。
逆は無理です。
あくまで受け取るだけの
一方通行です。」

「そうなの。」

「とにかく、お嬢様。
ここで大人しく
していてください。
マスターも、長々と
お嬢様を一人には
しません。
もうすぐお戻りに
なるはずです。」

東雲の忠告に、
天明もうなずいた。

従僕たちの真剣な
視線を受けて、
姫乃も真剣な
まなざしを返す。

「…でも、わたし、
基本的に大人しく
してるのって、
性にあわないのよねぇ。」

姫乃のそんな呟きに、
東雲も天明も嫌な
予感を覚えて、
顔を見合わせた。
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