モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「…犬猫じゃあるまいし、
そんなところに
僕がいるわけが
ないでしょう。」

「…。」

ため息交じりの
声が、凍夜の
後ろで聞こえた。

振り向けば、
心底あきれた顔で、
ノークスが
凍夜を見ている。

「…昔はいじけると、
泣きながら好んで
狭い所に入りたがった
くせに?」

「いつの話です!」

凍夜のささやかな
思い出話に、ノークスは
勢いよく噛みついた。

その、先日と違う様子に
ノークスの心境の
変化を読み取る。

「まったく、キミが
余計な入れ知恵を
してくれたおかげで、
姫乃どころか
沙羅にまで酷い目に
あわされましたよ。」

どうやら、沙羅の
ミートパイを食べたらしい。

聞いていたとおりの
効力を発揮したのは、
凍夜に続いて歩く
ノークスの渋い顔を
見れば想像がついた。
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