モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「へぇ。姫乃には
どんな目に
あわされたんだい。」

「…。」

姫乃どころか、という
言葉を聞き逃さず
凍夜が質問すれば、
露骨に嫌な顔をした
ノークスは唐突に
話を変えた。

「…そんなことより、
殴らなくていいんですか。」

「なんで。」

「覚悟してきたんですよ。」

「何を。」

「キミに殴られるのを、です。」

「へぇ、キミにそんな趣味が
あったなんて、驚きだね。」

「何の話ですか!」

わざと変な解釈をすれば、
ノークスはこれにも
素直に噛みついてくる。

これはやはり、
姫乃か沙羅に、
何らかの影響を
受けたに違いない。
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