モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「…火…。」

沙羅の家を
囲むように、
迫る、火。


炎。


「…森が…燃えて…。」

目の前の光景が
信じられず、
ぽつりとつぶやく。

おそらくは森の外から
火をつけられたのだろう。

どこまでも、
燃え広がる紅の森。

「…あ…。」

ぺたりと、沙羅は
その場に座り込んだ。



呼吸が。


止まる。




苦しくて、必死に
息を吸おうとして
いるのに、
うまくいかない。
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